象牙とは名前のとおり、象の発達した切歯のことで、日本では主に印鑑や楽器などの高級素材として扱われています。重要な公式書類に印鑑が欠かせない日本ではワシントン条約締結までは、一番輸入が多い国でした。現在では象牙と全く同じ質感のある素材を人工で作ることが可能で、これを利用した象牙風の安価な製品も存在しますので、模造品が作られることがあり、偽物が多く出回っているのも事実です。
象牙は元々、新しいものが高価で取引され古いものはもろく、芸術品などであれば、作者やその作品の評価によって価値は上がりますが、基本的にはあまり期待できない価格になります。ですので、もし、象牙をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ちゃんとした手入れを心がけることをお勧めします。手入れの仕方は汚れやホコリを取る場合、水で洗ったときは水分を乾いた布で拭き取って日陰干しにします。光沢を出したい時は湿った布でホコリを拭き取った後、研磨剤を含まない光沢剤で磨き布の綺麗な部分で軽く乾拭きすると輝きが戻ります。
・安藤緑山 他
こちらの作品は収集家の方からお譲りいただいた、象牙でできた観音像です。作られた時期は昭和時代ごろのもので、少し黄ばみがありますが、とても良くできた観音像でしたので、お譲り頂きました。
また、象牙で作られた観音像は非常に多くネットなどでもこちらの品に類似した品物が数多くありますが、前述にも記載した通り、象牙の作品にはとても偽物が多く出回っておりますので、自分の目でしっかりと吟味し、お買い求めすることをお勧めします。
観音菩薩とは仏教の菩薩の一尊で、特に日本や中国において信仰を集めている菩薩です。一般的に観音さまと言われることが多く、馴染みがあります。信仰としては観音経などとして広く信仰していますし、般若心経に登場する菩薩としても有名です。
作られたその多くが女性らしい顔立ちや姿をしているので、性別はどちらなのかという疑問が多い観音菩薩ですが、本来は男性であったという諸説が有力です。ですが、信仰の歴史をみると女性に対しては女性の姿で現れるなどという説もあるので、現代では性別の無いものと捉えるようになっています。
白衣観音図(狩野元信・画)
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中国の観音菩薩像(北宋時代)
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